2008年1月アーカイブ

せっかく手に入れた住宅。しかしそのローンが支払えなくなったら...。人生はなにが起こるかわかりません。
「いざ」というときのために返済不能になったときの知識は持っているほうがよいでしょう。返済不能への対応を知っていてこそ自分に最適なローンが組めるというものです。

ローンにも公的と民間の2つがありますが、今回はローンの支払いが滞り、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)から「催告書をもらった」「担保不動産の競売開始決定をもらった」などローンの支払いができなくなったときの対応につてご紹介します。

まず、公的機関ですから遠慮をしないで「相談すること」をお奨めします。返済期間の延長など対策をアドバイスしてくれます。

全体的な流れとしては6ヶ月の督促のあと、機構の債権は保証協会に移ります。つまりその後は保証協会が返済を求めてくるのです。

保証協会は「任意売却」「競売手続き」へと対応を進めますが、売買が成立したとしても債務がゼロになることはほとんどありません。
その場合民事再生法や自己破産など対策はいくつかありますが、大切なのは「ローンを支払える範囲内で借入をする」ということです。

危険を感じたら恥ずかしがらず見栄を張らずに正直に金融機関に相談することです。

住宅ローンを組む際はいろいろな条件があります。その1つに年令制限があります。

多くの金融機関が返済終了年令に上限を設けています。
ですので60才で30年のローンは組めません。

そんなときに便利なのが「親子ローン」です。「親子ローン」とは親子が連帯してローンを返済していく方法です。
民間、公庫ともにありますが、公庫の場合を例にとって紹介します。
公庫の場合は子どもの借入申し込み時の年令を基にして返済期間を選べます。例え親が60才であろうと30年ローンは組めることになります。

ただ、問題点も考慮しておきましょう。
もし将来、「子ども自身の結婚」などなにかの理由で新たに家を購入しようと思ってもローンが組めないのです。
理由は子どもは親子ローンの連帯債務者になっているからです。
金融機関は住宅ローンが残っている人には新たに住宅ローンは組んではくれないのです。

また、少ないとは思いますが、もし親子でトラブルがありケンカなどして子どもが独立した場合、支払い能力がなくなることです。

人生はなにが起こるかわかりません。親子ローンを組むときは親子で揃って契約書に署名をします。このときに親と子どもともに強い意識を確認することが大切です。

親子ローンは親子の絆のバロメーターにもなります。

不動産会社のチラシ広告を見ていますと「頭金ゼロ円より」といった表示を見かけることがあります。しかし私はあまり関心しません。

住宅ローンは超長期にわたり返済しなければならないものです。そのローンを組むのに頭金が用意できないのはローンを組む資格がない、とさえ私は思っています。

人により月々の支払額の限度額は違って当然です。一般的には収入の20%までと言われていますが、遊興費などにあまりお金を使わない人が20%を越えていても問題がある、とは言えません。

しかし「頭金」はきちんと用意できていなければなりません。「ローンの大半は頭金できまる」とさえ私は思っています。

ローンを払い続けるのに必要なのは日々の計画性です。つまり頭金を貯めることができる計画性があるか、どうかがローンを組む資格があるか、どうかにつながっていくのです。

不動産会社は家を販売するのが仕事ですからどんなローンであろうが契約をしようとするものです。例えば、ある金融機関で断られても違う金融機関に依頼したりします。条件さえ気にしなければローンは組めます。
しかし何度も言いますが、ローンは長期間返済するのが義務です。その義務が果たせないならローンは単なる借金でしかありません。

あなたは住宅ローンに頭金がつけられますか?

住宅を購入したときは税金を軽減することができます。これは政府が景気対策の一環として行っているものです。つまり景気をよく
するためには「国民にお金を使ってもらう」ことが最もよい方法だからです。
例えば晩ご飯のおかずにコロッケを買ったときはそれだけで終わってしまいますが、家を買ったときはそれに伴い「家具や調度品を
買う」などし、その波及効果はとても大きいものとなります。それが狙いです。
当然、購入者にとっても減税は得になることです。
具体的になにが得になるかと言いますと、所得税が安くなります。ですから家の購入を考える場合は税金軽減の視点も持って検討し
ましょう。税金の軽減は「ローンを組んだときにのみ」恩恵を受けられます。仮に「ローン利用を考えていない」方でも所得税の軽
減を考えますとローンを利用したほうが税金を安くできる場合もあります。そのような方には金融機関は「喜んでローンを提供した
い」と考えていますので一度足を運ばれることをお勧めします。
ご注意いただきたいことは、ローンに対する税金軽減は一定の条件があることです。例えば
・親や親族からの借入でない
・返済期間が10年以上
・建物の面積が50平方メートル以上
など細かい条件がありますので、それらを調べたうえでローンを利用すべきかどうか考えましょう。
少しの面倒が大きなメリットをもたらします。

ひと口にローンと言ってもさまざまです。今回は一般的に知られている住宅ローンについて注意すべき点を説明します。
本来、住宅ローンには「元利均等返済」と「元金均等返済」がありますが、現実的には「元利均等返済」しか選べない状況です。な
ぜなら金融機関が「元金均等返済」を認めたくないからです。「認めない」方法としてかなりの頭金を求めてきます。住宅を購入す
る人で金融機関の求める頭金を用意できる人は少ないのが現状です。
では、なぜ金融機関は「元金均等返済」を認めたくないのでしょう。答えは簡単です。金融機関があまり儲からないからです。
そんな状況の中で「元利均等返済」のローンにおいて注意しなければならないのが、いわゆるステップ返済方法です。現在では「ゆ
とり返済」などとも言われていますが、この返済方法はある期間後に、5年後が多いですが、一気に返済額が増額されます。あなたは
5年後の自分が予想できるでしょうか。事故に遭っているかもしれませんし、病気になっているかもしれません。
住宅ローンで最も意識しなければならないことは長期間を経て購入する、ということです。そして誰も長期間に起こることを当てる
ことができないことです。
住宅を買えるのはローンがあるおかげであることは間違いありません。ローンを有益に利用できるか否かはあなたが決定します。

住宅ローンを組むとき、ほとんどの人は金利を気にします。当然ですね。支払額に響いてきますから。でも見落としてはいけないの
が手数料です。
住宅ローンを借り入れるときに必要な手数料は、事務手数料、登録免許税、ローン保証料、また返済中にもいろいろな手数料がかか
ることがあります。保証料はバカにできない費用なのです。
この中でローン保証料が最も大きな手数料です。保証料は「返済ができなくなったときに保証会社が肩代わりをする」ための料金で
す。金融機関によって違いますが、30年返済で借入額1000万円ごとに19万円、それ以外に手数料が3万円といった例もあります。また
違う金融機関では金利に上乗せしています。保証料の有無は選ぶ際の重要なポイントです。
次に繰り上げ返済の際の手数料も大きなものです。こちらも最近では「無料の金融機関」がありますので要チェックです。
因みに繰り上げ返済をしますとローン保証料は返ってきます。以前、返還すべきローン保証料を返し忘れていた金融機関が報道され
ていましたが、損をしないように借り入れる側も覚えておきましょう。
固定金利型から変動金利型へ変更するときも手数料がかかりますのでこちらも注意する必要があります。
住宅購入には欠かせない住宅ローンですが、いろいろな面を考慮に入れて決めましょう。

やっとの思いで買った住宅も、その住宅ローンの支払いに辛い日々を過ごしている人は多いものです。購入する前は「大したことな
い」と思っていた毎月の支払いも35年続くと思うと暗澹たる気持ちになります。
子ども大きくなるにつてバカにならなくなる教育費、給料も「毎年少しずつでも増えていく」と思っていたのに会社の業績が思わし
くなく反対に減っていく。長期にわたるローン返済の間にはいろいろな予想外のことが起きるものです。
そんなとき「ローンの借り換え」を考えてみましょう。
まず覚えておきたいことは、同じ銀行内では「借り換え」はできないことです。これ意外と盲点です。
次に「借り換え」をしたほうがよいのか、という判断基準です。「借り換え」をしてもメリットがなくてはなんの意味もありません。
一般に、残存期間が10年以上で、ローンの残高が1,000万円以上で、新たに借りようと思っている金利差が1%以上あること、とされ
ています。この条件に当てはまらない場合でも、例えば残高が800万円で金利差が2%以上なら、借り換えのメリットはあります。本
気で考えているなら金融機関に相談することを勧めます。
借り換えで注意しなければならないことは新たに組むローンの返済期間は前のローンの返済期間の残り期間に限られていることが多
いことです。
以上を参考にして借り換えに挑戦してみましょう。

住宅ローンを借りていると一度は考えるのが借り替えです。住宅ローンの業界も時代とともに変化していきます。一度決めたことを
頑なに守るだけでなく柔軟な発想で対応するのが長期にわたる住宅ローンへの対応の仕方です。
まず自分の住宅ローンが借り替えができるかどうかチェックする必要があります。公的機関のローンは借り替えができませんし、銀
行によっても借り替えを認めていないケースもあります。
「借り換え」は今までの金利より低い金利に変えることによる支払い利息を減らすことがメリットです。しかしデメリットもあります。
「借り換え」と言いましても結局はまた新たにローンを組むことですので諸経費がかかります。ローン契約書印紙代や事務手数料、
登記費用などこれらのコストも考えて「借り換え」の是非を考えなければなりません。
例えば金利4%で借入3,000万円、期間30年の場合、5年過ぎた時点で金利3%のローンに借り替えたなら年間返済額は約17万円減りま
す。返済総額ですと諸費用を差し引いても約364万円軽減効果があります。
一般に借り替えは、金利差が大きく残りの返済期間が長いほど効果がある、と言われています。是非、考えてみましょう。
注意する点は担保評価が担保割れしている場合は借り替えができないことが多いのでそうしたことも考慮に入れる必要があります。

マネー雑誌などで「フラット35」という住宅ローンを目にすることは多いと思います。しかし、その意味や内容はよく理解されて
いないのではないでしょうか。
ここではより簡単にわかりやすく説明できれば、と思います。「フラット35」を理解するきっかけにしてください。
フラット35は、ひと口で言うと公的機関である「住宅金融支援機構」が提供している安心できる住宅ローンです。「安心できる」
の意味は公的であることのほかに「長期固定金利」であることです。変動金利が主流になっている民間ローンに比べ安心感がありま
す。
これは住宅金融支援機構が民間金融機関から住宅ローンを買い取り、それを担保とする債権を発行することで実現しています。現実
的に民間金融機関で長期の固定金利を実現することはあまりにリスクが大きすぎ不可能なんですね。
最高8,000万円までのローンを組むことができますのでほとんどの方が利用範囲内のはずです。また、保証料と繰上げ返済時の手数料
がともに0円なのも魅力です。ローンを組んだ経験がないと実感しないものですが、これらの手数料はバカにならない出費なんですよ。
加えて融資を受けられる建物は一定の技術水準に達した物件だけですので、買おうとしている物件の品質を証明する役目も果たすこ
とになります。
これほど優れものの「フラット35」です。是非、ご利用なさってみては…。

住宅ローンで最もポピュラーなのはやはり民間住宅ローンです。このローンは銀行や生命保険会社が扱っていますが、これらの金融
機関は不動産屋さんと提携していることが一般的です。ですので購入する際に(ある意味:自動的に)民間住宅ローンを組むことが
多くなっています。
次に知られているのは「住宅金融公庫融資」です。このローンは国の金融機関である「住宅金融支援機構」が行う公的ローンです。
このローンの特徴は「物件に対して融資をすること」です。つまり住宅の性能や設備が一定の基準を満たしている必要があります。
反対の意味で考えてみますと、住宅金融公庫融資が受けられるということはその物件が「しっかり」している証拠とも言えます。
ほかのローンとしては財形融資が有名です。このローンはサラリーマンで財形貯蓄をしている人が条件です。また、なおかつ財形貯
蓄を1年以上継続しておりその財形残高が50万円以上であることも条件です。融資限度額は、財形貯蓄残高の10倍までで、最高4000
万円となっています。
このほかには「フラット35」「自治体融資」などがあります。特に「フラット35」は民間金融機関と住宅金融公庫が提携して実
現した「長期固定金利」の住宅ローンで好評を博しています。

妻と家族といろいろな物件をみて回りやっと決まった物件。そして次の難問が住宅ローンです。今回は住宅ローンについて考えてい
きたいと思います。
最初に考えるのはやはり公的金融機関のローンです。これには物件に対する審査などもありますので借りられないこともあります。
次に考えるのは銀行によるローンです。こちらは収入などや勤務状態などの審査がありますので場合によっては借りられないことも
あります。
そして次に考えるのは信販会社などのローンです。こちらは銀行などに比べ審査が緩やかですので審査は通りやすくなっています。
自営業者などは信販会社ローンが多いようです。ただ1つの問題点は、銀行ローンより約1%金利が高いことです。しかしローンが組
まれなければ家は購入することができません。
実に、いい時代に生まれました。個人個人の経済的状況によりローンを選択することができるのですから。昔でしたら、家を買える
人は限られた人にしか考えられない選択でした。サラリーマンが家を買うなど夢の夢でした。
ただ、考える必要があるのは支払い限度額です。一般に収入の20%以内が目安と言われています。せっかく家を買ってもすぐに手放
さなければなってしまっては元も子もありません。
ローンをうまく利用してあなたも家を購入しましょう。

住宅ローンの返済方法も、住宅ローンを知る上でとても大切なことです。

住宅ローンはどうしても融資を受ける時が一番大事なので、融資を受けやすいことや金利が安いこと、手数料が安いことなどに目を奪われがちです。ですが、これらの部分にはかなり厳しく比較検討していても、返済方法についての検討が抜けているとこの部分で損をしてしまうこともあり、見過ごすことは出来ません。それでは住宅ローンの返済方法についての知識をまとめました。

まず、住宅ローンの返済方法には大きく分けて2つの方法があることを知っておいて下さい。その2つの方法とは「元利金等返済」と「元金均等返済」です。パッと見ただけでは名前が似ているので同じ言葉が2回並んでいるように見えますが、よく見ると2文字目の部分が「利」と「金」となっており、ここだけが違います。1字違いの両者は名前こそ似ていても全く中身は異なります。それではそれぞれの返済方法を解説いたします。

まず、元利均等返済。これは借り入れ金額に金利を加算した支払い総額を支払い回数で均等割にした返済方法です。現在一般に利用されている住宅ローンの大半はこの方法で最初から最後まで支払い回数が均等になるのが特徴です。但しローンというのは金利から先に支払っていくものなので、同じ金額を支払い続けているとは言え、最初の頃はほとんどが金利分の支払いで、回数が多くなるにつれて徐々に元金の比率が高くなっていきます。よく住宅ローンを組んだばかりの人が「まだ金利を払っているだけ」と話すことがありますが、これは元利均等返済の住宅ローンが始まったばかりであることを意味しています。以上の解説をお読みになると「元利」という言葉は「元金と金利」という2つのお金を略したものであることが分かりますね。

次にもうひとつの「元金均等返済」。これは借り入れ金額を支払い回数で均等割りにして、そこに金利を加算したものを毎月返済することになります。前者の元利均等返済だと最初は金利を支払っているだけですが、これだといきなり元金を支払っていきますので支払い開始直後から元金が減っていきます。元金が徐々に減っていくということは、ローン開始直後は一番元金が多い状態なので、そこに金利を上乗せしますから初回が最も返済金額が高くなります。そして、元金が減るごとに徐々に減っていきます。このため若いうちの支払いが高くなってしまうので、利用できる人は限られてしまいます。実際にこの返済方法を利用している人は少数派です。元金が最初から減っていくということで、支払い総額は低くなるので総額で比較するなら断然おトクな返済方法です。

住宅ローンはローンを組むときだけでなく、10年後や20年後など将来のイメージをなるべく正確につかむことが大切です。昔なら終身雇用の中で収入も安定して増えていくことが事実上約束されていたので、サラリーマンであれば安心して住宅ローンを組むことが出来ましたが、今は違います。将来の自分がどうなっているのかが読みづらいだけに、簡単に知ることが出来る住宅ローンの未来については知っておきたいものです。

住宅ローンだけでなく、あらゆるローンの情報サイトとして知られる「E-LOAN」にもなかなか使えるローンシミュレーターがありますので、ここではそれを使ってみることにしましょう。

ここで必要になる情報は借り入れ希望額、返済期間、ボーナス返済の有無、ボーナス返済する場合はその金額、金利、返済方法、返済開始年月です。

借り入れ希望額については購入したい住宅の価格から自己資金を差し引いた金額です。3500万円の物件を購入したいと思っていてすでに1000万円貯金があるとしたら、ローン金額は2500万円となります。返済期間はおおむね最長35年ですから、35年以内でローンの期間を入力します。収入のあるうちに払い終えていることが望ましいので、定年が予想される60歳から現在の年齢を引いた数字を入れるのがいいと思います。ボーナス返済については考え方が分かれるところですが、自営業者の方はボーナスがあるわけではないので最初から考えないほうがいいですが、それではサラリーマンの方なら入れていいのかと言うと、そうとも言い切れません。今もらっているボーナスがずっと出続ける保証はありませんから、設定するにしても少なめにしたほうが確実です。もちろんボーナス返済を併用すると圧倒的に支払いは楽になりますから、ある程度の金額が見込めるなら計算に入れておくべきです。次に金利。これは最も大切な要素です。2007年11月現在、固定金利型住宅ローンの主力商品「フラット35」の金利は3%前後ですから今回の実験では3%としておきます。次に返済方法として「元金均等返済」と「元利均等返済」のどちらかを選びます。これは住宅ローンを組む際の条件として必ずどちらかになりますので、それを選びます。詳しくは別の項で述べますが、ほとんどの住宅ローンが元利均等返済なので、ここでは元利均等返済にしておきます。この条件でシミュレーションしてみると、以下のようになりました。

借り入れ金額が2500万円で30年の住宅ローンを金利3%の元利均等返済、ボーナス返済なしで組むと、30年間の金利は12944363円、支払い総額は37944363円となります。これを月々の支払い金額にすると、105401円となります。この金額が30年間続きますから、これを元に返済計画を立てるとかなりイメージしやすいですね。

住宅ローンは最長で35年にわたる長いローンです。35年の住宅ローンを組むと、人間の平均的な寿命が70年だとすると人生の半分は住宅ローンを支払っていることになります。

それだけ長いスパンで関わることになる住宅ローンについては、借りる時点での検討だけでなく将来にわたって綿密に見込みを立てておく必要があります。例えば住宅ローンを組む時に住んでいる家が賃貸マンションだとします。その家賃が10万円だとすると、住宅ローンの返済金額と大差がないので、どうせならローンを組んでマイホームを購入したほうが得策…これは住宅ローンを組む人の大半が考えることです。

これは一見すると間違いないように見えます。これを検討している時期が30歳で、2歳の子供が1人居ている状況だとしますと、この支払いプランが現実味を帯びているのはもしかすると今だけかも知れないということを考える必要があります。2歳の子供ならまだ未就学ですから教育費もかかっていませんし、子供が1人だけで終わるとは限りません。今後考えられるあらゆる可能性は、どれも現在よりお金が掛かることのほうが圧倒的に多いのです。その時に収入が思っているように増えていなくて、住宅ローンの金額が同じだとしたら、現在よりも負担そのものは大きくなってしまいます。今のまま賃貸マンションに住んでいるのなら、多少不便なところでも家賃の安いところに引っ越せば負担は軽くなりますから引き続き同じレベルの生活をすることが出来ますが、住宅ローンを組んで住宅を購入してしますとそう簡単にはいきませんね。

こうした可能性を考えられるだけ織り込んで、10年後、20年後、30年後に支払っていける能力があるかどうかを事前に見込んでおくために住宅ローンにはシミュレーションという作業があります。これは借り入れする金額と金利、支払い方法などの条件によって月々の支払い金額や支払い総額を即座に計算できるものです。このデータに基づいて将来の資金計画に役立てることが出来れば、住宅ローンを組んだのはいいものの10年後に「こんなはずではなかった」ということにはならないと思います。

シミュレーションは住宅ローンを提供している会社や住宅ローン専門のサイトなどで簡単にやってみることが出来ます。具体的に検討している不動産が無い場合でも、どれくらいの資金を用意すればどれくらいのローン返済金になるのか、などの目安をつかむことが出来るので大変便利です。

それでは次の項で実際に住宅ローンシミュレーションを行った事例を交えてさらに詳しくご紹介したいと思います。

住宅販売の動向が経済に大きな影響力を持っている、というのは再三にわたってお話しました。別の項ではかつてのゆとり返済型住宅ローンという一時的なカンフル剤が景気浮揚どころか、経済全体に悪影響を及ぼしていることもお話しました。

これは何も日本だけの問題ではありません。2007年の世界経済はこの住宅問題に大きく振り回された年でもありましたから、ご存知の方も多いと思います。そうです、米国の「サブプライムローン問題」です。

サブプライムとは信用力の面で格落ちする人という意味です。もっと分かりやすく言うと、一般のローン審査では到底通らないような低所得者や収入の不安定な人でも利用できる住宅ローンです。この数年アメリカ経済は拡大の一途を辿っていて、その原動力は企業の高い収益力もさることながら、やはり下支えしていたのは内需でした。内需とは国内の消費を指しますが、内需の中でも住宅販売が好調なことはアメリカ経済を力強く牽引してきました。

アメリカでも住宅は高額な買い物ですから、ほとんどの人は住宅ローンを組んで購入します。信用力のある人についてはこれまで通り融資が出来るので良かったのですが、それだけでは好調な不動産流通に追いつきません。少々信用力に難のある人でも購入の意思があるのなら積極的に住宅を販売していこうということで、信用力が低い人向けの住宅ローン、サブプライムローンが広く販売されました。

アメリカ景気が拡大を続けている時はこれらサブプライムローンを利用している人の収入も比較的安定していたので問題はなかったのですが、景気拡大が一服してくると徐々にさぷぶライムローンを利用している人の台所事情が悪化し始めます。最初から信用力が劣る人たちなのですから、景気が減速してくると真っ先に収入が不安定になり、住宅ローンが破綻します。これが全米各地で相次ぎ、サブプライムローンを提供していた金融機関が続々と破綻し、それらの金融機関に投資をしていた他の金融機関が巨額の損失を被りました。それはアメリカだけでなく、ヨーロッパや日本の金融機関にも波及し、大手金融機関の巨額損失が続々と報道され、世界的な金融パニックが起きました。

株や為替市場が混乱し、相場を大きく崩すと投資家は嫌気して信頼できる現物へとシフトし、その投資先が金やプラチナなどの貴金属や原油、債券などとなり、現在ではこれらの価格はどれも高騰を続けています。

住宅ローンが経済に及ぼす影響をまざまざと見せつけられたのがこのサブプライム問題です。まだまだ破綻は続くので混乱の収拾は先のことになると思います。

住宅ローンは金額の大きさから、経済全体に大きな影響を与えることがあります。筆者は大学で経済を専攻していたということで、ここではややお堅く少し住宅ローンが抱える問題点や経済に対する影響などをお話したいと思います。

現在ではフラット35などの登場にも象徴されるように、固定金利型の住宅ローンが主流となっています。理由は簡単、日本経済が回復基調にあるので金利が上昇する見込みだからです。変動金利型の住宅ローンを組んでしまって、後々に金利が上昇するようなことになると支払い総額が後になって増えてしまうリスクがあるので、最初に支払い総額を確定してしまうほうが得策です。つまり、現在の住宅ローンは現在の経済状況を踏まえているということです。

このように住宅ローンはその時々の経済と密接に連動して商品の内容も変化しています。そのため時代が変われば現在では考えられないような住宅ローンがありました。バブル崩壊後、空白の10年と言われた時期に主流になっていたのが“ゆとりローン”や“ゆとり返済”と呼ばれた住宅ローンです。住宅は高額なので、住宅の販売が伸びると景気を底上げする力があります。そのことを期待した政府が住宅ローン開始当初は支払い金額が少ない住宅ローンを推奨しました。それがゆとり返済です。開始後5年間はローンの支払い金額が少ないのですが、以後は最初に少なかった分までも上乗せされるので急に支払い金額が上昇します。住宅ローンの支払い金額が上昇したからと言って、景気が劇的に良くなったわけでもないので収入は増えていません。その結果、支払い不能となって滞納や破綻したという事例が全国各地で相次ぎ社会問題になりました。

この問題の本質は、ゆとり返済を推奨した時期がバブル崩壊後で日本が不況にあえいでいた真っ只中という点にあります。あらゆる景気浮揚策もうまくいかず、民間需要の拡大を狙った結果、とりあえず住宅の購入を促進するためにゆとり返済を考案しました。当時の目論見としては「5年もすれば景気も良くなって収入も地価も上がるだろう」という願望に近いものがあったのですが、現実はそのようにはならなかったわけです。

確かに景気が良くなって収入が増えれば5年以後に返済金額が増えたとしても支払い能力がありますし、地価が上がれば仮に支払い不能に陥っても不動産を処分すれば残債は処理できるのですが…。

不況で不動産が底値の今だからこそ多少の無理をしてでもマイホームをと考えた人と、5年後の希望的観測を前提にゆとり返済を推奨した国や金融機関。この安易な行動が現在も経済に悪影響を及ぼし続けていることを知っておいて頂きたいと思います。

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